2022年8月号(保険適用外の自費治療の特徴 / 最短セラミック矯正について)
【治療前に知りたい】保険適用外の自費治療の特徴
虫歯の治療をした際に、多くの方が詰め物やかぶせ物として選択される素材のひとつに金銀パラジウム合金いわゆる「銀歯」があります銀歯は保険適用で受けることが可能な治療で価格も比較的安く、硬い金属素材なので耐久性があり、コストパフォーマンスに優れています。ですが、金属から作られている銀歯は使用する期間が長くなると唾液が銀歯に触れたことによって金属イオンが溶け出してしまい、歯が黒くなってしまったり、お口を開けたときに銀歯がぎらぎらと光る、などの見た目の問題や、銀歯が原因で金属アレルギーを発症するなどの身体への悪影響を及ぼす恐れがあります。
このように、見た目・身体上の問題が発生することがある保険治療に対して、保険が適用されない自費診療では、陶器からできているセラミックやジルコニアといった非金属の素材を使って治療を行うため、見た目は天然の歯とほとんど変わらない美しさがあり、なおかつ身体に及ぼす影響も少ないのが特徴です。 また、保険を使わない自費診療の治療には、歯を美しくすることが目的の審美歯科での治療や、歯並びを治す矯正治療、自費による入れ歯やブリッジ治療、インプラント治療などがあります。今回は、治療前に知っておくと便利な、「保険適用外の自費治療の特徴」について詳しくお話をさせていただきます。
■保険が適用される治療と自費治療の違い
保険を適用して行う歯科治療は、治療の方法や治療に使う歯科用素材があらかじめ定められており、患者様が治療法や治療に使う素材を選択することは原則としてできません。(2種類程度の歯科用素材であれば、保険診療でも選ぶことが可能です)それに対し、保険が適用されない自費診療では、患者様ができるだけ痛みを感じないようにする治療法や、精密機器を用いた治療を選択できるようになるほか、治療で使う歯科用素材も陶器から作られているセラミックや、人工ダイヤモンドからできているジルコニアなど、審美性にすぐれ耐久性も高い素材から選択できるようになります。
■ 保険適用で行う自費診療の内容について
◎自費で選択できる詰め物・かぶせ物一覧
①ジルコニアセラミック(かぶせ物)
・クラウンの土台部分が人工ダイヤモンドのジルコニアでできており、その上にセラミックを
焼き付けて作られています。
・透明度が高く、仕上がりは天然の歯とほとんど同じような白く美しい見た目の歯になります。
・強度があるため、義歯治療の際にはブリッジ部分の人工歯としても使用することが可能です。
②フルジルコニア(詰め物・かぶせ物)
・クラウン全体が人工ダイヤモンドのジルコニアでできています。
・クラウンすべてがジルコニアのため非常に硬く、耐久性が高いのが特徴です。
・美しい白さを演出することができますが、微妙な色味の調節がむずかしく、
審美性はほかのセラミックと比べてやや劣ります。
・天然の歯よりも硬いことから、噛み合わせ部分の歯を痛めることがあります。
③e-max(詰め物・かぶせ物)
・ニケイ酸リチウムガラスを溶かしたのち、強い圧力をかけて作るセラミックの一種です。
・歯科用素材として用いられるセラミックの中ではトップクラスの審美性の高さをほこり、
仕上がりは天然の歯と見分けがつかない美しさを実現できます。
・素材に柔軟性がありしなやかで、噛み合わせ部分の歯を痛めません。
④ハイブリッドセラミック(かぶせ物)
・セラミックにプラスチック樹脂のレジンを混ぜて作られています。
・通常のセラミックよりも柔らかくしなやかさがあります。
・年数が経過すると変色が起こりやすくなります。
・ほかのセラミックと比べると比較的安価ですが、
審美性はセラミックのみで作られたものより劣ります。
⑥ファイバーコア(歯を支えるコア)
・中心部分の芯棒に丈夫なグラスファイバーを使い、周りをレジンで固めて作られたコアです。
・主に、根管治療時にかぶせ物をする際に歯の強度を増す目的で使われます。
・金属のコアであるメタルコアよりも柔軟性にすぐれ、コアが歯を割ってしまう
歯根破折(しこんはせつ)のトラブルが起きる確率を下げることができます。
・非金属素材のため、金属アレルギーを起こす心配がありません。
・天然の歯との適合性にすぐれ、治療後の歯に虫歯ができにくくなります。
■ その他の自費診療について
・プレミアムクリーニング
専用の機械を使って患者様の歯のすみずみまで徹底的にお掃除を行い、歯を美しくするほか、虫歯になりにくくなるという効果もあります。プレミアムクリーニングでは、「薬液を用いて虫歯のもとになるバイオフィルムを除去」「PMTC専用のペーストで歯をブラッシング」「専用ジェルと歯間ブラシ、デンタルフロスを使って歯と歯の間をクリーニング」「舌専用ブラシで舌表面のクリーニング」「ナノ粒子が含まれたアパタイトで歯をトリートメント(プラークがつきにくくなり、虫歯予防の効果があります)」などを行います。
・矯正治療
歯並びを治す矯正治療には、ブラケットとワイヤーを歯の表側に装着する「表側矯正」や歯の裏側に矯正装置を取り付ける「裏側矯正」のほか、目立ちにくく部分的に歯並びを治すことも可能な「マウスピース矯正」、セラミッククラウンを歯にかぶせることで歯を動かさずに矯正を進めてゆく「セラミック矯正」があります。この他、お子さまの歯列矯正としては特殊なマウスピースを使う「プレオルソ矯正」や
「ムーシールド矯正」、入れ歯のような形をした矯正器具を使って徐々に歯並びを治してゆく
「床矯正(しょうきょうせい)」などがあります。
その他、審美性や耐久性にすぐれた素材を使って行う「入れ歯・ブリッジ治療」
(入れ歯やブリッジはプラスチックのレジンでできた義歯であれば保険診療が可能です)や、
人工歯根を直接患者様のあごの骨に埋め入れる「インプラント治療」も、
保険が適用されない自費による診療となります。
■ ご自身の症状やご希望に合った治療をお受けになることをおすすめします
「保険が適用されない自費診療の特徴」についてお話をさせていただきました。銀歯など、保険が適用される保険診療は比較的安価に歯を治すことができますが、保険診療はあくまでも「食べ物を噛む機能」そして「歯の見た目(最低限度の見た目)」を取り戻す、という「必要最低限の治療」を行うこととなりますので、どうしても審美性に欠けた見た目になってしまいます。それに対して、保険が利かない自費による診療は患者様のご負担は増えますが、その代わり、見た目の美しさは保険適用で行う歯科治療よりもはるかにすぐれた自然で美しい仕上がりになります。歯科医院をご利用になる際には、ご自身の症状やご希望に合わせ、保険か自費、どちらを選択するかをよくご検討された上で治療をお受けになることをおすすめします。
最短で出来るセラミック矯正とセラミックの種類について
「歯列矯正は痛い」
「歯列矯正は治療に時間がかかる」
このように、“歯科医院で行う歯列矯正”は「痛いからイヤ」「時間がかかるのがめんどくさい」といった認識を持たれている方も少なくありません。しかし現在では、ブラケットやワイヤーを使って歯を動かす従来の矯正治療とは異なる、「セラミック矯正」を利用して歯並びを改善する患者様が増えてきています。セラミック矯正とはセラミックでできたクラウン(被せ物)を使い、ワイヤーやブラケットを使わずに歯並びを矯正し、白く美しい歯を手に入れることができる治療法です。今回はそんなセラミック矯正についてご紹介していきます。
◎ セラミック矯正は最短期間で歯並びを治すことができます
セラミック矯正とは、陶器でできているセラミック製のクラウンを歯に被せることで歯並びを整える治療法です。
セラミック矯正は、ブラケットやワイヤーを装着して歯を動かす従来の矯正治療とは異なり、矯正装置を使用せず、歯を動かさずに「歯の形や色を改善して歯並びを整えていく」矯正方法となります。
患者様の症状にもよりますが、従来の矯正装置を使って行う歯列矯正が1年や2年といった長い治療期間を必要とするのに対し、セラミック矯正では早い方であればたった2回の治療で歯並びを改善できるケースもあります。
■ セラミック矯正で使用するクラウンの種類について
◎当院で使用するセラミッククラウンはすべて「メタルフリー」です
当院では、セラミック矯正で使用するセラミッククラウンはすべて金属不使用、陶器だけで作られている「メタルフリーのオールセラミッククラウン」を採用しています。このため、金属アレルギーが起きる心配がなく、アレルギーをお持ちの患者様でも安心して治療を受けていただくことができます。当院のセラミック矯正で使用するメタルフリーのセラミッククラウンには、以下の4種類のクラウンがあります
1-1.e-max
e-maxとは、比較的加工がしやすいセラミックであるニケイ酸リチウムガラスを溶かし、強い圧力をかけて作成する、従来のセラミッククラウンとはまったく異なる製法で作られたセラミッククラウンです。
ニケイ酸のリチウムガラスセラミックスで作られているe-maxは、審美面ではプロセラには一歩およばないものの、天然の歯とほとんど見分けがつかない美しい歯を再現できるほか、硬さや耐久性の点ではプロセラ以上という特徴があります。なおかつ、柔軟性のある素材のため噛み合わせ部分の歯を痛めにくいというメリットもあります。
1-2.ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、強度が高い人工ダイヤモンド(ジルコニア)の土台部分にさらにセラミックを盛り付けて作られているセラミッククラウンです。人工ダイヤモンドが土台のジルコニアセラミックは透明度にすぐれ耐久性も高いことから仕上がりの見た目はプロセラとほぼ同程度となり、自然な白さの美しい歯を手に入れることができます。
1-3.オールジルコニア
オールジルコニアは、クラウンすべてが人工ダイヤモンドのジルコニアで作られているのが特徴です。クラウン全体が人工ダイヤモンドでできているオールジルコニアは、数あるセラミッククラウンの中でも最も硬く耐久性が高いというメリットがあります。しかし、オールジルコニアはすべてジルコニア製のため自然な歯の白さを再現しにくく(ジルコニアは天然の歯と比べると透明感や色味が若干異なります)、審美面ではほかのセラミッククラウンに劣るほか、硬すぎるため噛み合わせ部分の歯を痛めやすいというデメリットも存在しています。
■ セラミック矯正の治療の流れとメリット・デメリットについて
◎治療では麻酔を使用します
セラミック矯正では、患者様の歯を小さく削り、必要があれば歯の神経を抜いたあとで仮歯の取り付けと型取りを行い、最後にセラミッククラウンを被せるという流れで治療を進めてゆきます。治療では麻酔注射をほどこしますので、治療中に痛みを感じることはほぼありません。
○セラミック矯正のメリット
・歯を動かさず、短期間(最短で2回)で歯並びを治すことができます
・矯正装置を使わないため、従来の歯列矯正よりも治療中に感じる痛みは少なくなります
・歯並びを改善しながら、同時に歯を白く美しくすることができます
●セラミック矯正のデメリット
・歯を削り、神経を抜く場合があります
■ セラミック矯正は最速で安全に歯並びを改善できます
「セラミック矯正」および「セラミッククラウンの種類」についてご紹介をさせていただきました。従来の歯列矯正とは異なり、早ければ2回というスピードで歯並びを治すことも可能なセラミック矯正は、「できるだけ早く歯並びを治したい」「目立たずに早く歯並びを改善したい」という方に最適の治療法です。また、セラミック矯正で使用するセラミッククラウンは強度が高く審美性にもすぐれているため、セラミック矯正を受けることによって短期間で歯並びを改善しながら歯を白く美しくすることができます。 もし歯並びの悪さや歯の見た目でお悩みがあれば、ぜひ、最速で安全に歯並びを改善することが可能なセラミック矯正治療をお受けになることをおすすめします。
部分的な歯並びが気になる方にもおすすめのマウスピース矯正とは
「歯並びを治したいけど、矯正装置が目立つのが気になる」
「装置を着けていると、矯正していることが分かるので恥ずかしい」
「前歯だけを部分的に治したい」
このようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、マウスピース矯正です。マウスピース矯正は透明で目立ちにくいマウスピースを使い、ご自宅で歯の矯正を行うことができます。従来の矯正治療ではブラケットとワイヤーを歯に装着するため、どうしても矯正治療中には装置が目立ってしまいますが、透明なマウスピースを使って就寝中などの時間帯に矯正を行うマウスピース矯正であれば、ほかの人に気づかれずに歯並びを改善することが可能です。
■マウスピース矯正の特徴
◎取り外し可能で歯のお手入れがカンタン
マウスピース矯正は、透明な素材でできている目立ちにくいマウスピースをご自宅で患者様ご自身が装着して行う矯正方法です。マウスピース矯正で使用するマウスピースは食事や歯磨きの際には自由に取り外すことができますので、矯正治療中でもしっかりと歯を磨くことができ、衛生的です。
◎前歯のみの部分的な矯正にも向いています
マウスピース矯正で適応可能な症状としては、前歯の歯と歯のあいだが開いている「すきっ歯(空隙歯列:くうげきしれつ)」の歯並びや、前歯が前後にでこぼこした状態の「でこぼこ歯(叢生:そうせい)」、前歯が前方向に突き出している出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)」などがあります。これらの歯並びの症状が軽度であれば、十分マウスピース矯正で歯並びを改善することが可能です。
■マウスピース矯正の特徴
○メリット
1.透明な素材でできているため、目立ちにくい
マウスピース矯正では透明で薄型の素材からできているマウスピースを使って矯正を行うため、外から見ても矯正していることが分かりにくく、目立ちません。さらに、マウスピース矯正の場合は自宅で就寝時などにマウスピースをはめて行うことが多いので、矯正していることを周りの人に気付かれることはほとんどありません。
2.食事や歯磨きの際に自由に取り外すことができる
マウスピース矯正で使用するマウスピースは、食事や歯磨きの際にいつでも自由に取り外すことができるため、矯正装置を気にせず食事を楽しむことができます。
3.取り外し可能で歯のブラッシングがしやすい
取り外し可能なマウスピースは歯磨きの際に取り外せば、いつもどおりのブラッシングを行うことができ、歯を清潔に保つことができます。
4.前歯のみの部分的な矯正に適している
前歯のすきっ歯やでこぼこ歯、出っ歯など、歯並びの乱れが軽度であれば、マウスピース矯正を利用することで前歯の歯並びを部分的に矯正することが可能です。
5.従来の矯正治療よりも費用が比較的安くなる
歯並びの症状にもよりますが、マウスピース矯正の治療費用はブラケットとワイヤーを歯に装着する従来の矯正治療よりも安くなるケースが多く、矯正治療にかかる費用を抑えることができます。
(※ 患者様の症状によってはマウスピース矯正でも治療費用が高くなるケースもあります)
6.従来の矯正治療よりも痛みが少ない
矯正治療は全般的に治療中には少なからず痛みを感じます。治療中に多少の痛みを感じるのはマウスピース矯正においても同じであり、マウスピース矯正はまったく痛みがでない矯正方法ではありません。しかし、マウスピース矯正は従来のブラケットとワイヤーを歯に装着する矯正治療よりも痛みが少ないことが明らかになっています。
●デメリット
1.従来の矯正装置と比べて歯を動かす力が弱く、適応できる症状が限られてしまう
マウスピース矯正は取り外し可能で部分矯正にも向いているすぐれた矯正法ですが、従来のブラケットとワイヤーを使う矯正治療と比べると歯を動かす力が弱いため、マウスピース矯正で適応できるのは歯並びの軽い乱れなど、治療可能な症状が限られてしまいます。
2.決められた時間マウスピースを装着しないと、矯正効果がでないことがある
マウスピース矯正では、あらかじめ決められた時間マウスピースを装着しないと矯正の効果が半減またはまったく効果がでないことがあります。
(※ 患者様の歯並びの症状によっても異なりますが、マウスピース矯正では最低でも1日8時間から10時間のあいだマウスピースを装着する必要があります)
3.装着時には会話をしづらくなることがある
マウスピース矯正では、初めてマウスピースを装着してから数日間のあいだは、装着時に会話をしづらくなることがあります。ただし、ほとんどのケースではマウスピースを装着したその日から問題なく会話できるほか数日経って慣れてしまえば日常生活に支障をきたさずに普通に会話をすることが可能となります
■ 目立たないマウスピース矯正で美しい笑顔を取り戻しましょう
前歯のみの部分矯正も可能なマウスピース矯正についてご紹介をさせていただきました。前歯のすきっ歯やでこぼこ歯、出っ歯などの歯並びの乱れは、単なる歯並びだけの問題だけにとどまらず、歯並びの悪さが原因で「人前で口を開けて笑えなくなる」などのコンプレックスを生み出してしまうこともあります。
当院では、そのような歯並びのお悩みをお持ちの患者様が本来持っている「美しい笑顔」を取り戻すため、マウスピース矯正を初めとした各種の矯正法をご提案させていただきます。歯並びのことでお困りの際は、ぜひ、治療の内容についてお気軽におたずねください。