2023年3月号(歯並びが悪くなる原因 / 前歯の部分矯正について)
歯並びが悪くなる原因と歯並びを良くする治療方法紹介
歯並びには個人差があり、小さな頃から歯並びが悪い方も、成長する段階で歯並びが悪くなってしまう方もいらっしゃいます。歯並びが悪くなってしまうと顏の印象を大きく左右するので、コンプレックスになってしまうこともあります。
歯並びを改善してキレイな歯並びを手に入れると、自信を持って笑顔になれたり、知的な印象を与えることができるなどメリットがあります。そこで今回は、歯並びが悪くなってしまう原因と歯並びを良くする治療方法を詳しくご紹介します。歯並びについてお悩みがある方は、是非参考になさって下さい。
■遺伝による歯並びの悪さ
あごの大きさや歯の大きさはある程度遺伝が関係してきます。特に下のあごが出ている受け口と言われる状態は遺伝する可能性が高くなります。絶対に悪くなるということではありませんが、あごの成長が十分でないと歯の生えるスペースがなくなってしまうことで、歯並びがガタガタになってしまうケースが多くあります。
また、生まれつきで歯の本数が多かったり、少ない場合には、歯並びが悪くなってしまうので、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。
■日常の癖や習慣
・口呼吸
本来、呼吸は鼻でするものですが、最近では食や生活の変化によって口で呼吸する子供も増えてきていると言われています。口で呼吸してしまうと、舌の位置が下がってしまう原因になり、歯並びが悪くなってしまう原因になってしまうのです。また、お口が開いたままになってしまうことが多くなり、お口の周りの筋肉のバランスも崩れてしまいやすくなります。
・指しゃぶりや爪かみ
小さい頃のくせで指しゃぶりを長くしていると、上の前歯が押されて前歯が出てきてしまったり、かみ合わせた時にしっかりと前歯が閉じない開咬という状態になってしまいます。
また爪かみも一定方向に力がかかりやすく前に歯を押し出してしまう原因になりやすいので、爪かみをする癖があると出っ歯になりやすい傾向にあります。
この様な癖は、お口の中が乾燥しやすくなり、歯並びが悪くなってしまうだけでなく虫歯のリスクも高くなってしまいます。
・あごの発達不良
普段の食事で柔らかい物ばかり食べてしまうと、あごの骨への刺激が少なくなりあごが成長できなくなってしまいます。こうなってしまうと、歯が並ぶはずのスペースがなくなってしまい、歯並びが悪くなってしまうのです。
・頬杖をつく、同じ方向で寝る
同じ方向ばかりに力がかかってしまうとお口のバランスが崩れてしまい、少しずつ歯並びに影響を与えてしまいます。
・乳歯の虫歯
乳歯の虫歯だからといって、虫歯になってもそのまま放置してしまい、本来抜ける前に抜けてしまうこと
で永久歯が生える時に歯並びがガタガタになってしまいます。
■歯並びを良くする治療方法
治療方法① ワイヤーによる矯正
一般的に広く行われている矯正方法で『ブラケット』と呼ばれる装置をつけてワイヤーを通し、少しずつ歯並びを整えていく方法です。基本的には矯正が終わるまで取り外しをすることができない方法です。
従来は、金属の装置やワイヤーで治療することが多かったので、見た目が気になってしまうこともありました。しかし最近では見た目が気になってしまう人の為に、審美的にも分かりにくいホワイトワイヤーなども選択することができるようになっており、見た目が気になって矯正に踏み切れなかった方にも好評です。
治療方法② 部分矯正(プチ矯正)
全体的な歯並びだけではなく、前歯の1本が斜めになってしまっているときや前歯のすき間が気になってしまっているという方におすすめなのが部分矯正(プチ矯正)です。部分矯正とは全体的に装置をつけるのではなく、気になっている部分だけに装置をつけて治していく方法です。全体的な矯正に比べて、期間も短く済ませることができますし、費用も抑えることができます。
治療方法③ マウスピース矯正
歯に透明なマウスピースを装着しそれを徐々に付け替えることで、少しずつ歯を動かしていく方法です。透明なマウスピースは周りの人に分かりにくいことや、いつでも取り外しをすることができるので食事や歯磨きの際などにストレスを感じることがありません。
ただ、マウスピースを装着する時間をしっかりと守っていなければ矯正効果を得ることができない場合が
あります。歯科医師に指示された装着時間を必ず守り、治療計画通りに矯正が進むように注意する必要があります。
治療方法④ セラミック矯正
セラミック矯正は歯並びが悪い部分の所の歯を削って、セラミックのかぶせ物をすることで歯並びをキレイに整える方法です。
歯を削ることにはなりますが、治療期間も短く済みますし、色や形を自分の好みで決めることができる点が大きなメリットです。
■まとめ
歯並びが悪くなってしまうのは、遺伝的な要因もありますが、日常の生活習慣が大きく関わってくることもあります。
かみ合わせが良くなることで、見た目の満足度も高くなりますし、虫歯になるリスクが減ったり、消化が良くなったりとメリットがたくさんあります。
歯並びが気になった際にはいくつか方法があり、それぞれにメリット、デメリットがありますので、どの方法が最適かを歯科医師としっかりと相談しましょう。
歯科の自費治療とは一体どんなもの?自費治療に関する基礎知識
歯科には保険で治療することができる『保険治療』と、保険は適応されない『自費治療』があります。
保険治療は国の医療保険の中で治療することが出来ますが、治療することができる材料や治療の選択肢には限りがあります。
自費治療は全額自己負担にはなりますが、様々な治療や材料の中から自分に合った治療を選択することができるのです。
そこで今回は気になる『自費治療』について詳しくご説明します。
■自費治療とは?
自費治療は『病気を治すこと』に重点を置いた保険治療とは違い、『病気を治してより快適なお口の環境に整える』ことを目的としています。また見た目の満足度も高くなる様に、審美性にも注目して治療していきます。
■美容歯科を受けるメリットとは
美容歯科治療を受けて歯を美しくすることで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
①様々な治療法
保険の治療は歯を失ってしまった場合には、他の歯を削ってブリッジを入れたり、入れ歯にする方法ですが、自費治療では他の歯に負担をかけないインプラントという選択肢も出てきます。また、審美性を追求した『ホワイトニング』や『セラミックの治療』なども選択することができます。
保険の中では白くキレイな歯に対する治療はすることができませんが、自費治療ではお口の中を美しくする治療を受けることも可能になります。
②様々な素材
保険の中で虫歯になって、奥歯のかぶせ物をする場合には銀歯になります。白い歯に並んだ銀歯は見た目の存在感もありますし、金属アレルギーのリスクがあるなどデメリットがあります。また前歯では白い歯科用プラスチックの素材を使用することが出来ますが、長い時間お口の中に入っていると徐々に黄ばみ、変色してきてしまいます。自費治療はセラミックの素材で白く自然なかぶせ物を選択することができますし、変色もありません。また金属アレルギーの心配もないので安心です。
③時間をかけた治療
保険の中で治療する場合には治療費だけでなく治療にかけることができる時間が決められています。時間をかけて治療をするには保険の中の治療では限界があるため、最善の治療で時間をかけた治療を自費治療で行うのです。
費用の面では保険の治療の方が抑えることはできますが、自費治療は高額であるもののメリットが多く、毎日食事をする際やお話をする時に使用する大切な歯のためなので、長い目で見るとどちらが良いかを、歯科医師としっかりと相談した上で患者さんに選択してもらう治療と言えます。
■自費治療のメリット
メリット① 患者さんにとって最善の治療が受けられる
自費治療の場合には使える材料に制限がないので、機能面や耐久性、見た目の満足度を追求した素材を選ぶことができます。具体的にはセラミック(オールセラミックやジルコニア、ハイブリットなど)やファイバーを使用した素材も使用することが可能です。
メリット② 最新の治療を、時間をかけて受けることができる
保険の様に細かいルールがあるわけではないので、最新の治療で患者さん一人一人のお口の状態にあった治療を、時間をかけて丁寧に行うことができます。
■自費治療のデメリット
デメリット① 費用が高い
保険の治療では負担額は患者さんによって異なってきますが、3割負担の方では国で7割の治療費を負担してくれています。自費治療は患者さんがすべての治療費を負担するので、メリットがたくさんある治療ですが、負担額は多くなり、比較的高額な治療費が発生してしまいます。
デメリット② 歯科医院によって金額に差がある
保険では治療費が決められているので、どの歯科医院で治療を受けても大きな差はありません。しかし自費治療は歯科医院ごとに治療費を決めることができるので、患者さんご自身が安いのか高いのか判断して歯科医院を選択しなければなりません。
ただ治療費が安いからといった理由だけで歯科医院を選択するのはおすすめしません。安くても最適な治療法を提案してくれる歯科医院もあれば、高く費用を設定していてもずさんな治療をしている歯科医院である可能性もあるからです。あらかじめ自分が受けたい治療がどの程度かかるのか、相場を確認し、親身になってくれる歯科医師かどうかを確認しておくことが大切です。
自費治療ではカウンセリングを十分に行ってから治療計画を立てることが多いので、気になったことがあれば相談し、納得してから治療を始めましょう。
■自費治療の種類
1、矯正治療
矯正治療は一部の先天的な異常や外科的なあごの治療が必要な場合には保険が適応されますが、歯並びが悪いから改善したいという審美目的である場合には自費治療となります。
矯正治療は見た目の歯並びが治ることやかみ合わせが理想の状態になることで咀嚼をしっかりと行うことができ、全身にも良い影響を与えてくれます。
最近では見た目が気になってしまう患者さんの為に、目立たないタイプの矯正装置を選択することができたり、透明なマウスピースを使用して歯並びを治していく方法もあります。また、前歯の部分的な歯並びにお悩みがある方にはプチ矯正という部分的な矯正治療もあります。
2.メタルフリー治療
銀歯を入れてしまうと、年数の経過とともに歯茎が黒ずんでしまったり、差し歯と歯肉の境目に黒い線ができてしまうことがあります。また、銀歯が長年口の中に入っていることで金属アレルギーを引き起こしてしまう可能性もあります。メタルフリー治療ではジルコニアセラミックやフルジルコニア、e-maxなどの審美性と機能性に優れた被せ物にすることができます。金属の土台が入っていて不安という方も、自費治療なら見た目も美しく安全性の高い治療を受けることができるのです。
■まとめ
自費治療というと費用の面に注目してしまうがちですが、機能面や審美性でも満足度が高くメリットの多い治療です。
必ずしも自費治療ではないといけないということはありませんが、保険が適応される治療のメリット、
デメリットと比較してご自身にはどの治療が最適か選択することをおすすめします。
前歯に多い不正咬合の種類と早くて安くて簡単なプチ矯正について
歯並びやかみ合わせが悪いことを不正咬合と言います。不正咬合にも種類があり、原因としては遺伝的な要因と環境的な要因が考えられます。不正咬合は程度や種類によって矯正の方法も変わってきます。今回は前歯に多い不正咬合の種類と、期間が短く費用も抑えることができるプチ矯正について詳しくご説明します。
Case1 歯がデコボコに生えている(叢生)
あごのスペースが少なく、歯が生える場所が足りないと歯がデコボコの状態で生えてしまいます。見た目もあまり良くありませんが、歯が重なり合っていることでブラッシングなどのケアがしにくく、虫歯になってしまうリスクも高い歯並びです。
Case2 前歯が出ている(出っ歯・上顎前突)
上の歯が前に出ていて見た目も気になってしまうことが多い歯並びです。口が閉じにくく、口腔内が乾燥しやすいため歯周病のリスクが高くなってしまったり、かみ合わせが悪いので、食べ物をかみ切りにくいなどの問題があります。生まれつき上のあごが歯の大きさに比べて小さいことで、前歯が出てしまうことが原因になっていることが多いです。
Case3 下の歯が出ている(受け口・反対咬合)
本来は、上の歯が下の歯よりも少し前になっている状態が理想ですが、受け口の場合には下の歯が上の歯よりも前になってしまっている状態です。かみ合わせが反対になってしまっているので『反対咬合』とも呼ばれます。原因としては、上あごの成長が不十分だったり、下あごが成長しすぎてしまうことが考えられます。両親のどちらかが受け口の場合には遺伝で子供も受け口になってしまう可能性が高くなってしまいます。また、舌で下の歯を押す癖があるなど、癖や生活習慣が関係してしまう場合もあります。
Case4 歯にすき間が開いている(すきっ歯・歯間空隙)
歯のスペースが余ってしまい、すき間が開いてしまっている状態です。すきっ歯は前歯だけにすき間が開いている場合や、歯全体にすき間がある場合など様々です。あごが成長しすぎてしまったり、歯の本数が通常より少ない場合にすき間ができてしまうことがあります。永久歯がまだ生え揃っていない段階に隙間ができてしまうこともあり、永久歯が生え揃うと隙間が無くなるなど一時的に隙間が発生する場合もあります。
Case5 前歯がかみ合わない(開咬)
奥歯でしっかりとかんでも前歯がかみ合わない状態です。前歯で物をかみきることができないので、食事の時にストレスになってしまうことが多いです。その他にもお口が乾燥しやすい状況になってしまうので、歯周病になってしまうリスクが高くなってしまったり、上の歯から空気がもれてしまうので、しっかりと発音しにくいことがあります。原因としては、幼少期に指しゃぶりを長期間していたことで歯並びに影響してしまった場合や、蓄膿症などで口呼吸になってしまって、唇とお口の筋肉バランスが崩れてしまって開咬になってしまうことがあります。
Case6 かみ合わせが深い(過蓋咬合)
奥歯でかんだ時に下の前歯がほとんど見えないほどにかみ合わせが深くなっている状態です。場合によっては、上の歯にかみ合わさらずに、上の歯ぐきをかんでしまうこともあります。深すぎるかみ合わせはあごに負担がかかってしまうので、顎関節症のリスクが高くなってしまいます。原因としては、早い時期に乳歯がなくなってしまったり、奥歯の虫歯を放置してしまって、奥歯のバランスが崩れてしまって前歯のかみ合わせに影響してしまうことが考えられます。
■プチ矯正とは?
プチ矯正とは部分矯正とも呼ばれ、全体的に矯正装置をつけるのではなく部分的に矯正装置をつける方法です。ワイヤーを用いた装置だけでなくマウスピースを併用していくことで部分的な歯並びを改善していきます。マウスピースを併用することによってワイヤーを装着する期間を短縮できるため、違和感や傷みが少なく気軽に始めることができます。
■プチ矯正のメリット
①期間が短い
全体的に矯正をする場合には2年~3年程度かかる場合が多いですがプチ矯正は6か月~1年程度の短期間で治療をすることができます。
②費用を抑えることができる
プチ矯正は動かす本数によって費用が変わりますが、全体的に動かす全体矯正に比べて費用を抑えることができます。
③痛みや違和感が少ない
全体矯正は装置をつけた時やワイヤーを調整した際など、全体的な違和感があることがありますが、プチ矯正は動かす範囲が少ないので、その分違和感も少ないことが多いです。
■プチ矯正のデメリット
①出来る場合と出来ない場合がある
プチ矯正はお口の状態によって出来ないこともあります。たとえば、歯並びが重なりあっている場合でスペースがない状態では部分的な矯正ではなく、全体矯正が適応になることもありますすべての方に適応できるわけではないので、気になる方は相談してみましょう。
②全体のかみ合わせまで改善できない
プチ矯正は部分的な矯正なので、前歯など、一部の改善になり、全体矯正に比べると全体のかみ合わせを改善していくことが難しくなってしまいます。
■まとめ
前歯の歯並びが悪いと見た目だけではなく、かみ合わせも悪くなってしまい、加齢などの影響で徐々に全身に影響を与えてしまいます。矯正にも色々な方法がありますが、前歯だけが気になるという方にはプチ矯正で歯並びを改善するという選択肢もあります。お口の状況によってどの治療法が良いかは異なってくるので、歯並びが気になるという方は早めに相談することをおすすめします。